愛護ビジネス VS 草の根の動物愛護:形式的なメルクマールの不在

(2010(平成22年)/10/20 の記事を再掲) 

 日弁連シンポジウム「貧困ビジネス被害を考える~被害現場からの連続報告」(2010年4月12日開催)の、基調講演「貧困ビジネスとは何か? 低所得者を喰う者たち」の中で、湯浅誠氏は「社会的企業と貧困ビジネスは、どのようにして区別すればいいのだろうか。」と、「形式的な指標」を明確にすることの難しさを検証している。

 ”貧困ビジネス”は湯浅氏の造語だが、マスコミも使用しているので一般化されたと見ていいだろう。貧困層をターゲットにした悪質商法である。
 湯浅氏は「貧困層をターゲットにしていて、かつ貧困からの脱却に資することなく、貧困を固定化するビジネス」と定義し、「貧困状態を固定化したり、貧困からの脱却に資さない、そういった悪いビジネスを指している。」「貧困は克服されなければいけないモノであって、貧困ビジネスも克服されなければいけない」と社会に提起する。

 同じ貧困層を対象にしていても、対象者の主体的な生活を支援し、自立をサポートする企業や活動は、健全で有為な社会活動である。例としてノーベル平和賞を受賞したバングラディッシュの「グラミン銀行」などが挙げられているが、鳥取市にもそういう企業は沢山ある。

 鳥取市役所南庁舎内の「喫茶レインボー」もその一つだ。
 「二人で一人、三人で一人と発想を転換させれば、知的障害者の社会進出はもっと進む。社会で彼等に出来ることはもっともっと沢山ある。」
 レインボーでサポーターとして働く人が語った言葉を思い出す。
 知的障害者を”可哀想な自立出来ない人達”とみる発想はそこにはない。労働資源の活用方法を考えていく地道で積極的な姿勢がそこにある。
 
 レインボーを”お客さん”として利用する私達は、そこが障害者と健常者のバリアーフリーが成立する「場」だと感じている。バリアーフリーの講釈をわざわざ聞きに行く人はいなくても、自然に体感される「場」が市民生活の中で機能していれば、人はすんなりと受け入れる、理解する。理解させてもらう。
 「健全に機能する場」は、マスコミ報道や自己宣伝以上に有効に作用するのである。

 これは全ての社会企業(ボランティア団体も含む)に共通するのではあるまいか?
 ”パクリ精神”では「場」は成立しない。
 ”障害者ビジネス”というものも、多分、社会では後を絶たないだろうし、レインボーのような社会企業と障害者ビジネスをどう区別するのかと言えば、(湯浅氏の言う通り)、「企業の実態を見れば分かる」。「現場に行って、その会社を見れば分かる。例えば利用者の顔つきであったり、生活状況がどのくらい改善したのかであったり、運営している人たちへの信頼感であったり。いろいろなことを見ていけば、社会的企業であるかそうでないかは分かる。」のである。

 私は時々レインボーを利用する。
 そこの雰囲気を知っているし、客として不都合も嫌な思いも経験したことがない。
 だから、レインボーが社会的企業であると知っている。

 問題は、「これを形式的に区別しましょう、という話になれば非常に難しい問題にぶち当たる。」ことなのだ。「愛護ビジネス」と「社会的な愛護推進事業」も、遠目に二つを区別する「形式的な指標」を明確にするのは難しい。

 ”愛護ビジネス”の用語は、首都圏の講演会等では使われていて、既に一部の動物福祉関係の人達の間では定着している。 しかし、マスコミは”愛護ビジネス”の用語を使用するのを躊躇っているように見える。

 理由の一つは、どの分野にも言えることだが、「形式的な指標」を私達が未だ模索中であるからだ。
 これだけ愛護ビジネスが何十年も横行放置されていて、事例には事欠かないにも係わらず、「形式的な指標」で区別(法規制)しようとすると、「いいモノと悪いモノが同じ網に引っかかってしまう」。
 ”愛護ビジネス”を追求するなら、私達は多くの事例を検証し真贋の「指標を生み出し」、社会が納得し、使えるものを提供していかなくてはならない。
 愛護団体は業界全体で問題意識を共有し、嘘のない活動実態を明らかにして、主義主張の相違は相違として、”愛護ビジネス”との差別化を検討すべき時期である。

 また、環境省も動物愛護管理法改正へ向けた審議過程において、”愛護ビジネス”被害者(元支援者や地域住民)のヒヤリングを実施し、愛護ビジネスを社会問題として認識すべきである。
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