"恨みを買うのも仕事のうち"?脅迫事件

 一般に私達は、司法関係者(検察、裁判所、弁護士等)は、反社勢力や、わけのわからぬ言動のチンピラ達からより良く守られていると思い込んでいる。犯罪を摘発し刑を宣告する司法関係者が脅迫に晒されては困るではないか?犯罪者の逆恨みが弁護士に向かうようでも社会制度の秩序が保たれない。で、なんとなく私たちは、司法関係者は犯罪者から特別に守られていると思いがちだが、先日、こんな報道があった。



判決直後、検察官に「殺す」=脅迫容疑で男逮捕―滋賀県警
2015/04/13 時事通信

 法廷で実刑判決を受けた直後、検察官を「7年後殺す」などと脅したとして、滋賀県警大津署は13日、脅迫容疑で大津市本丸町、無職西村満容疑者(37)を逮捕した。「知らん」と容疑を否認している。
 逮捕容疑は3月17日午前10時ごろ、大津地裁で、強制わいせつなどの罪で懲役7年の実刑判決を言い渡され退廷する際、公判を担当した大津地検の男性検察官(38)に「7年後覚えとけよ。殺したるからな」などと言って脅迫した疑い。

 同署によると、西村容疑者は1月28日、強制わいせつと銃刀法違反の疑いで逮捕され、追起訴分も含め四つの罪で起訴された。3月17日の判決後に控訴したが、今月10日ごろに取り下げ服役していた。検察官が同署に被害届を提出したという。



 報道を受け、元特捜部主任検事の前田恒彦氏が連載時事評論で事件を取り上げている。
 ・2015年04月17日 検事に対する殺人予告で逮捕 知られざる「お礼参り」の実態  
 それによると、検事に対する脅迫は、珍しいことではないらしい。



(抜粋) 今回のように検事が関係者から脅されるといった事態は、単に表に出てきていないだけで、実際には取調べ室や法廷などで時折見られる光景にほかならない。裁判官や弁護人も同様だ。

 私自身も、取調べ中、興奮した被疑者から机を何度も叩かれ、怒鳴り上げられたことがあるし、警察から送致された覚せい剤事件の捜査では、急に立ち上がった被疑者から机越しに襲われそうになったこともある。この時は、護送を担当する警察官が被疑者を羽交い締めにし、事なきを得た。

 公判でも、若い女性裁判官の「前に来なさい」という命令口調に激高した中年男性の被告人が、急に「なめんじゃねえぞ」などと言いながら証言台の椅子を抱え上げ、ひな壇に座る裁判官に向かって投げつけようとした場面に遭遇したことがある。護送担当の拘置所職員らが必死に飛びついて防御したが、それでも勢いで被告人の履いていたサンダルが脱げ、裁判官のところまで飛んでいったほどだった。

 逆に、示談が成立していない交通死亡事故などの裁判では、被害者にも落ち度があったなどと法廷で主張した弁護人が、閉廷後、興奮した遺族や被害者の友人、知人らから詰め寄られ、「お前もひき殺してやろうか」などと脅される場面があった。

 また、著名な組織暴力団の幹部を被告人とする裁判では、警察の捜査に協力した検察側証人の配下組員を弾劾すべく、反対尋問に立った弁護人が、この組員を指して暴力団関係者の最も嫌う「チンコロ」(密告者のこと)という隠語を使ったところ、「てめえのツラだけは絶対に忘れねえからな。出たら覚悟しとけよ」などと大声で怒鳴り上げる場面に遭遇したこともある。

 ただ、こうした場面では、基本的に相手の興奮が収まるまで黙っておく、というのが検事や裁判官、弁護人の取るべき態度とされる。
 人に感謝されるよりも恨まれることの方が圧倒的に多く、それもまた仕事のうち、というのが本分だし、相手も一時的に興奮しているだけであり、何か言い返したりすれば火に油を注ぐ結果となるからだ。

 特に検察では、「秋霜烈日」のバッジを付けた検事が、事もあろうに「関係者から脅されて恐ろしい」などと言い出すことは恥ずべき事態であり、何を言われても毅然とした態度を貫くべし、といった発想が根底にあるので、事件化されることなどないのが通常だ。
 その意味で、今回は非常に珍しいケースであることは間違いない。

 (中略)

  もっとも、2010年9月には実際に和歌山地検の庁舎1階で男性検事(当時40)が切り付けられる事件も起きており、検事に対する脅迫にナーバスとなり、厳しい態度で臨むのも理解できる。
 この時の犯人は、旅館の放火事件で全面否認のまま逮捕、起訴され、一審の和歌山地裁で懲役6年の実刑判決を受けた女性(現在服役中)の父親(当時82)だった。
 娘の量刑が重すぎると検察に恨みを抱いた父親は、地検1階の受付で女性の身内だと告げ、公判担当の男性検事との面談を求めた。その上で、この検事が受付近くの部屋で父親に対応していた際、いきなり刃物でその左腕を切りつけ、全治10日間のケガを負わせた。
 父親は駆けつけた警察官に逮捕された後、傷害罪と銃刀法違反で起訴され、懲役3年6か月の実刑判決を受けている。



 この最後の事件は何となく記憶にありますね。確かこの老父は娘さんに世話されていて、娘が刑務所に入ることは即ち老父の日常が回らなくなる。その危機感が動機だったように思います。
 検事ばかりじゃない、鳥取でも福祉担当者がカマで切りつけられる事件がありました。
 多頭飼育や不適正飼育を指導する立場の行政獣医さんも通報を受け、「あー!厄介な相手ですね。指導も・・・油に火を注ぐような事になりますから・・・火にガソリンをぶっかけるようなものです!!!」と口走ったりします。

 どの現場、職業もあるんですよねー、ストレスのタネが。
 生きる妄想・星広志の公文書偽造事件の裁判では、星の代理人が法廷外で新聞記者を恫喝する場面がありました。「なにぃ~、このクソ弁護士!何も知らんとぬかすねぇ!新聞社を訴えるならやってみろ!お前、完敗するぞ!」と思いましたですね。
 弁護士も安全圏ではありません。

 『恨まれるのも仕事のうち』とあるが、彼等も人間だから、改めて考えてみると大変ストレスの強い職業だなと思う。刑事司法の現場は、非日常的な空間ですからね。私も名誉毀損事件で、腹を立てて怒鳴ったりしました、最近は勝手が少し分かってきて、その時々に何をなすべきかが理解されると、怒鳴ることは少なくなりましたけど。
 正しく刑事司法を批判するのは、門外漢には中々難しい技です。ヤメ検とか元裁判官等の、刑事司法の現場にいた人でなければ起きた出来事を客観的に理解しにくい。刑事司法の世界に限ったことではないですが。
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