FC2ブログ

警戒区域内被災動物-終わりの見えない事業展開と将来的な課題-


 警戒区域内の被災ペットですが、松村さんや関係者のお話では、犬の姿も死体も全くと言って良いほど見ないそうです。先日、公開された第35回動物愛護部会(H24.12.21)の議事録で「警戒区域内の被災ペットの取組」が報告されていますが、警戒区域内で実際に動いている方達の証言と一致します。姿が見えなくなった犬の保護数は極端に減り、猫の保護頭数が増えています。世代交代が進み、山林で野生化した個体が多いという話も聞きます。



【事務局】 もう1点、事務局からご報告させていただきます。
 災害関係の報告でございまして、本日は口頭でのご報告とさせていただきます。
 昨年3月の東日本大震災にかかる警戒区域内の被災ペットの取組についてです。この動物愛護部会におきましても、取組の状況につきまして節目節目でご報告させていただきましたが、前回の部会以降の取組状況についてご報告をさせていただきます。

 今年度も、警戒区域内からの被災ペットの保護活動を実施しております。保護したペットにつきましては返還や譲渡を進めているところです。12月3日から21日まで、今年度は第2回目になりますが、一斉の保護活動を実施しています。約3週間にわたって行っていますが、12月20日現在で犬2頭、猫82頭保護しています。
 前回の保護活動が9月上旬から10月上旬で、犬が1頭、猫が131頭を保護しています。本日までですので、全体的な保護頭数、また保護にあわせて生息状況調査も行っていますので、そうしたものを分析しつつ、次回の保護活動の検討材料にしたいと考えています。また本部会でも報告させていただきます。

【林部会長】 はい。ありがとうございました。
 12月3日から3週間の予定で、犬が今時点で2頭ですか、猫が82頭ということですけれども、保護された頭数といたしましては。何かご意見、ご質問ありませんか。はい、どうぞ、臼井委員。

【臼井委員】 福島での大変な作業、本当にありがとうございます。もしわかればですけれども、猫、いわゆる今年生まれたような猫の割合はどのぐらいありますでしょうか。

【事務局】 今回の分については、今、集計中ですが、前回と昨日までの段階での割合は、昨年の3月11日以降生まれたものが約半分、それ以前のものが約半分です。今年生まれた猫は多い状況にあります。



20111025014.jpg
2011年10月23日、(公社)日本動物福祉協会主催のアニマルシェルターセミナー
「ボランティア 及び 受け入れる側が学ぶべきこと」会場の日本獣医生命科学大学キャンパス内で撮影。
文面とは関係ありません。

 議事録は続いて、保護した猫の適正譲渡先の受け皿が少ない中で奮闘している事、警戒区域内の被災動物保護事業が終わりの見えない展開になっている現状を伝えています。これは警戒区域内で牛のケアをしている松村直登さんや吉沢さんの「希望の牧場」も同じ状況です。原発事故の被災は終わりがない、これは被災動物だけでなく被災者被害も同じです。
 発災から二年経過した今、開沼博さんが指摘するように、当初は事故由来のものとして「問題はそれ・そこだけ」にあったかのように錯覚された福島第一原発事故問題が、以前から日本社会に存在する様々な問題と絡み合って拡大、複雑化している中で、局部的と切り捨てられたり、潜在化していく問題が多く、当事者と第三者のギャップが広がっていく。

参照:ダイヤモンド・オンライン
 ・被災地・福島をめぐってすれ違う課題【前進編】  
 ・開沼博 闇の中の社会学 「あってはならぬもの」が漂白される時代に
 
 そういうギャップは、発災以前から存在したギャップも含めて、被災動物レスキュー分野でも見られる事なので、支援したいと思うなら当事者の意識や現状を先ず、知らなくてはいけないだろうと思います。中々、これが難しいのですが、当事者と支援者がスレ違う支援、押し付けになる支援やボランティア活動を回避するには、自分が関わるところは細やかに理解する配慮が必要です。一個人の支援はささやかな局所的なもので、出来ることは限られているので難しいことではないと思います。

 例えば警戒区域内の猫ですが、猫は被災地だけでなく全国的に猫余りの状況です。
 全頭保護を目標設定すると、一部安楽死措置を検討せざるを得なくなるでしょう。
 今、警戒区域内に残存する猫だけでなく、保護され無事飼主の元に戻った猫の中には、これから飼主のやむを得ない事情で飼育困難で再保護が必要なものも出てきます。
 悪質な愛護ビジネス施設内の虐待死や、闇致死処分の犠牲になるより、公的機関の致死処分の方がはるかにましだと私は考えますが、環境省、福島県の方針は未だ決まっていないようです。

 定期的に餌付けに通ったり、TNR活動を行っている人達もいる。その活動の結果が適正かどうか、別の問題を引き起こしていないかどうか、活動する人は細やかに見ていったほうがいいんですね。



【斉藤委員】 保護された猫がたくさんいるということですが、これからこの猫についてどのような対応をして、譲渡するなり、最終的に目標を持たなければいけないと思うのですけれども、大変難しいのではないかと思います。前に不妊・去勢をして地域猫化する話も聞いたことがあるのですが、この猫についてどうするのか。性格的に多分譲渡に向かない猫が多いのではないかと思います。それを今後どうするかということと、それから来年の4月以降のシェルターの管理についての資金面だとか、どのような体制でやるのか。その辺も教えていただきたいと思います。

【事務局】 斉藤委員から難しい問題のご指摘だと思います。この保護頭数についても、今ご報告しましたように猫の数がかなり多くなっています。譲渡についても、今まで行っているわけですが、犬の方が譲渡率も高くて、譲渡数の7割ぐらいが犬で、猫は3割ぐらいです
 それで、現地の福島県や福島県の動物救護本部などの関係者と打ち合わせを重ねて相談しているのですが、なかなか人慣れしてない猫が多くどうしたものか。また病気を持っている個体も多いので、その扱いもどうするかを問題にしています。人慣れしていない猫については、幸いシェルター関係者に大変ご尽力していただきまして、なかなか譲渡に向かないと思っていた個体についても、人の手をかけることによって譲渡向きにできるのではないかということで、少しずつ譲渡に適さないものから譲渡に適するようにしていきたいと考えています。また、譲渡については、今、福島県のホームページなど通じて普及・広報しているところですが、なかなか被災したペットということで、新しい飼い主が見つからないということで、もう少し広報活動を全国的に展開してもいいのではないか。また譲渡会などを行っても良いのではないかということで、具体的には今現地ともう少し積極的な広報活動について相談しているところです。
 基本的にはできるだけ返還と譲渡でゼロを目指して、殺処分はないようにしたいと考えていますが、先程お話した病気の個体など、その取扱いについては、まだ結論が出ているような状況ではありません。


 あとシェルターの関係は、今年、平成24年度の環境省の事業を使いまして、臨時のシェルターを整備しているところです。そのほかには福島県のシェルターを今2カ所設けているところです。福島県などとは、1カ所に集約できるのではないかと相談しているところです。環境省においても、来年度の予算要求はしているのですが、政権も変わって流動的です。そうした状況も踏まえ現地とも相談して対応を考えていきたいと考えています。

【林部会長】 はい。ありがとうございました。よろしいでしょうか。
 私の方から是非この機会にお願いがございます。今回3週間も環境省、そして福島県が主体になられて保護活動をやられたというのは大変ありがたいことです。しかし去年は16の民間団体も保護活動に加わったという経験があるわけですが、今回は彼らは加わっておりません。
 私がお聞きしています理由は、非常に残念なことですが、定められた保護活動期間以外に、どこかの団体が入り込んで餌をまいたということです。それは気持ちとしてはわかるのですが、そのために猫が家の中に入ってきたり、特に今問題になるのは、野生動物が餌をまいたために増えるということですね。例えばハクビシンであるとか、アライグマなどもひょっとすると今どういう状態になっているのか。餌まきは本人はよかれと思っても、住居が猫や野生動物に荒らされることにつながる。
 地域の人たちがそういうことをする人たちには入ってもらいたくないという意見、これは福島県に恐らく寄せられたのだろうと思うのですね。その結果、今回、民間団体が一緒に入るということは遠慮してもらって進められたという経緯があるとお伺いしていますが、長期的に考えますと、こういう活動は環境省、それから地方自治体が軸になられながら、民間の力も一緒になって協働してやっていくと、里親探しにとっても活動の幅が広がりますね。

 先程斉藤委員のご質問の中にあったリリース、つまり不妊・去勢してリリースするかどうかという問題については、是非それはやめられた方がいいと思っていますのは、今、全国的に見ても、例えば御蔵島一つとってみても、リリースしているわけですね、不妊・去勢して。そのために、オオミズナギドリを初めとする海鳥たちがリリースした猫だけじゃないのでしょうけれども、犠牲になっていると言われています。
 猫はある意味では野生化すると、見方によっては残虐なハンターにもなり得るわけで、そういうことを考えますと、リリースというのは非常に難しい問題がある
 小笠原で世界遺産登録に向けて、猫はリリースしないで東京都へ、東京都獣医師会などの協力があって、持ち帰ったということがありましたけれども、ああいう形、あれはどこか1カ所にシェルター作って置くというよりも、各獣医さんが手分けして里親を探したり、自分のところで飼い続けたり、そういう分散化の方が予算的にも現実可能性が高いと思います。きちんと約束事は守って、保護活動に官民一体になってやるというような、そういう体制が将来的には動物愛護のあり方としては先進的なのではないかと思うのですね。

 ですから、とりあえず何をしていただきたいかといいますと、去年の12月の反省会のようなものを、どこが良くてどこが悪かったのかという反省会をもってもらいたいと思います。これは環境省としてやられるのがよいのか、それとも菅谷委員が会長をされています緊急災害時動物救援本部の方でそういうのを取りまとめて反省会をやられるのがいいのか。そこは少し環境省と緊急災害時動物救援本部がお話し合いをして、正すものは正し、そしてもっといい形でそういう輪を広げて救援活動を進めていくというようなことをお考えいただけないかというのが私のお願いなのです。

 恐らくこのまま行けば、猫が増えますよね。私たちの部会は犬と猫に絞って論議していますが、本当から言えばアライグマもハクビシンもそのうちイノシシもイノブタみたいになり、鹿もこれから問題になってくる。いろいろな意味であの事態が起きたために大変な問題がこれから動物との関係でいうと問題になってくるはずなのですが、この部会は今のところ犬と猫でしょうから、当面犬と猫で是非そういうような方向でお考えいただけないかというお願いです。


 
 警戒区域内の被災動物保護の官民学協働が一度は試みられたにも係わらず、破綻した経緯がありました。
 動物愛護の市民活動、団体やグループ、ネットの呼び掛けに応えて個人ボラ参加していく側に大きな問題があるのは疑いないところです。
 これは動物愛護分野だけでなく原発反対の市民活動でも同じだったので、多分、どの分野でも見られる現象で、日本社会における市民活動の問題として括れるのでしょうけど、話を愛護に戻すと、『三春町の「福島県動物救護本部 第2シェルター』でご紹介したように、アニマルシェルターワークのソフト面の平準化やボランティア教育が一般化される過程で、質の良い信頼出来るボランティア活動と単に犬猫を掻き集め、好きなようにいじくっている所の差別化は出来ていくのではないでしょうか?(再掲:「シェルターでの動物の幸せを考える医療」)



【田邉動物愛護管理室長】 ただいま部会長からご指摘いただいた点は、まさにそのとおりだという状況でございます。昨年の12月の民間団体の方に入っていただいて行った保護活動については、ご指摘どおり、全部の団体ではないですが、一部の団体において、ルールを守っていただけなかったという事態が生じておりまして、そういった点で関係団体との調整が進められなかったというところがございます。今、部会長ご指摘のとおり、反省会という点ではやっておりませんので、
 今後の民間の皆さんとの連携についてですが、この点については、先程の報告でも申し上げたとおり、これまで一斉保護という形で続けてきたわけですが、この保護について、生まれて1年程度という個体が多く、また犬が保護できないという状況を踏まえて、少しその方法も考えなければいけない時期に来ていると考えております。その方法を考える中で、民間団体の皆さんとの連携について、可能性も含めて関係団体と協議をしたいと考えておりますので、どういう形になるか現状ではお示しはできませんけれども、検討は進めていきたいと考えております

【林部会長】 はい。ありがとうございました。はい、どうぞ、菅谷委員。

【菅谷委員】 警戒区域内でたくさんの子猫が産まれ、保護されても譲渡もなかなかうまくゆかず行き詰まっているようですが、原子力災害という特殊な状況下で一体この事業はいつ終わるのだと災害発生当初からずっと実務にあたっている人達はかなり疲れています。
 林部会長の言われた事業の反省についてですが、緊急災害時動物救援本部といたしましては、現在、有識者の方々にお願いして、評価委員会を設けて、事業の検証、評価そして今後の本部事業の在り方等をご検討いただいているところです。それを踏まえた上で、事業の改善及び充実を図りたいと考えております。動物救援本部長をやっていて、どういう先の見通しがあり、どうするのだ、との声もあります
 また、林部会長のご意見の通り、犬猫以外の動物への支援要請や被災動物と言えるかどうかの問題も出てきております。いろいろ問題を抱えていますけれども、先の見通しを探りながら犬猫を対象に環境省及び関係団体と協議しながらできるだけの対策を実施していきたいと考えています。



 最後に読売の記事を転載しておきます。
困ったペット保護
2013年3月21日 読売新聞

 東京電力福島第一原発周辺の立ち入り禁止区域に残された犬や猫の保護に国や自治体が頭を悩ませている。野生化したペットの捕獲は難しく、民間の手を借りたいが、動物愛護団体の中には、虚偽の立ち入り申請書を自治体に提出して活動を行い、民家の中に餌をまいていくケースも。自治体には、一時帰宅した住民から「ネズミやゴキブリが増えた」などの苦情が250件以上寄せられている。

 環境省によると、原発事故前に福島第一原発の半径20キロ圏で、市町村に登録されていた犬は約9000匹。同省と福島県は2013年2月までに犬453匹、猫541匹を保護した。現在も相当数のペットがいるとみられる。野生化したペットが繁殖し、新たに生まれた犬や猫もいるが、数はつかめていない。

 警戒区域などは、災害対策基本法で立ち入りが禁止され、保護活動が可能なのは、同省と県だけ。カメラを設置して、野生化したペットの行動範囲を探るなどしているが、捕まえるのに苦戦している。

 環境省は民間に協力してもらおうと、11年12月に16団体の活動を認めたが、無断でテレビクルーを同行取材させるなどのケースがあったため、その後は許可していない

 こうした中、立ち入り禁止区域内の事業者から依頼を受けたと装い、地元市町村に申請を出す団体もいる。中国地方の団体代表は「警戒区域内にある会社に名前を使わせてもらえるよう協力してもらい『会社の書類運搬の手伝いをする』と、うその申請をして活動した」と打ち明ける。

 虚偽申請をする団体は複数あるとみられる。今年1月には、偽の通行許可証で警戒区域に入ったとされる動物愛護家2人が偽造有印公文書行使などの疑いで逮捕された。

 ペットフードを置いていくケースもあり、浪江、双葉、大熊、富岡の4町には、一時帰宅した住民から「庭先や屋内に勝手に餌がばらまいてあった」「餌にネズミやゴキブリが発生した」など250件以上の苦情が寄せられている。

 自治体はこれまで、申請内容に矛盾がない限り許可書を発行してきたが、事業者に依頼したかどうかなどを電話で確認するなどの対策を取り始めた

 一方、愛護団体は「民間の活動も認めてほしい」と訴える。環境省は共同活動を再検討しているが、民間団体は規模も活動内容もばらばらの上、窓口となる協議会もない

 同省動物愛護管理室の大倉弘二室長補佐は「動物を保護したい気持ちは民間も行政も同じ。なんとか一緒に活動できるよう模索したい」と話す。


関連記事
スポンサーサイト



コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

チッチ

Author:チッチ
連絡先:
℡:090-8609-3689(仲市) 
mail:anti_nuclear2011311@yahoo.co.jp
*@を小文字に直してお使い下さい。

寄付金口座:
 株式会社山陰合同銀行 千代水支店
 店番 120 口座番号 3734226
 仲市素子名義
 *2018/5/15付けで、寄付金公募開始しました。
 見学交通費、宿泊費、事務通信費、情報開示請求経費、インターネット経費に限定して使用します。

 
現在の閲覧者数:

最新記事
カテゴリ
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR