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 近親交配という犯罪システム


【記事再掲】


近親交配という犯罪システム[2009年10月28日(Wed)]
■イギリス 犬たちの悲鳴 ブリーディングが引き起こす遺伝病
 NHK・BS1 9月23日再放映を見て ('09/9/28)

 御覧になれなかった方達のために、内容を箇条書きしておきます。

 ドキュメンタリーフィルムは、2年間にわたる徹底的な調査をもとに製作されています。

 ”純血種”の純血性を守る役割を担うとされている”ケンネルクラブ”は、実は単なるマニアックな素人集団でした。
 生物学的、解剖学的、獣医学的な観点を全く無視して犬の健康や福祉を顧みず、無意味な見た目だけの”犬種基準”を考案し、基準に合致する事を競い、常軌を逸した近親交配を繰り返し、遺伝性疾患に苦しむ犬達を蔓延させた実態が分かり易く語られます。


 登場するのは英国ケンネル・クラブ関係者(会長、ブリーダー、ドッグショー審査員、個人飼主会員、遺伝学顧問獣医師)。RSPCA(王立動物虐待防止協会)、CAWC(ペット動物福祉協議会)の専任獣医師。臨床獣医師や遺伝学等の専門家達。ペット雑誌の編集者。遺伝性疾患に苦しむペットの飼主達、システム改善を求めて活動を続けるキャロル・ファウラー氏など。
 
・キャバリア・キングチャールズ・スパニエルの脊髄空洞症
 登録犬の三分の一が発症と推測される。ほとんどは軽症だが、重症の場合は頭蓋骨の  後部を取り除き、容量を広げる手術が必要。手術は成功するとは限らない。激痛が激しい  場合は安楽死処分。

 脳に較べ頭蓋骨が小さすぎるため、神経がやられていく。
 ”20cmの靴に25cmの足を突っ込むようなもの”
 初期症状:首や頭に触れられるのを嫌がる。
 激しい頭痛。異常な感覚があり、首輪装着でも激痛。(神経病専門獣医師・クレア・ラスブリッジ氏)

 心臓疾患も多い。およそ半数が5歳までに心臓に雑音が聞こえる。10歳過ぎにはほとん  ど全てに雑音が聞こえる。(リバプール大学心臓専門獣医師・サイモン・スィフト氏)

・1950、60年代に心臓疾患のある犬が大々的に繁殖用に使われたのが、慢延の原因だろう。人気犬種は沢山の子犬を産ませる。そのため急速に病が広がった。

 イギリスの700万匹の飼犬の約四分の三が純血種。犬種はおよそ200種類。
 イギリスの飼い主達が負担している治療費総額は、1週間で約15億円。(1千万ポンド)

・スティブ・ジョンズ教授(ロンドン大学)
 常軌を逸した近親交配。
 人間なら完全な違法行為。
 健康という観点からみて、言語道断の繁殖が行われている。

・RSPCA(王立動物虐待防止協会)のマーク・エバンス獣医師は、”犬種基準”で順位を競うドッグ・ショーの弊害を指摘。

・映像は1900年代と現在のダックスフントとブルテリアの体型変化を指摘する。ダックスはより足短になり足に負担がかかり易く変化し、ブルテリアは頭蓋骨が変化し著しく扁平になった。
 ジャーマンシェパードドッグも警察犬等の使役犬に余り変化はないが、ショー・ドッグには重大な変化が見られる。

 動物形成外科の権威、グラハム・オリバー氏はドッグ・ショーの映像を見て、シャーマンシェパードの”失調性歩行”を指摘。(後ろ足の筋力がないので膝が左右に揺れ、筋肉運動の制御が出来ない。)

 それでも世界最大のドッグ・ショー”クラフツ”2008年バーミンガム大会で、審査員テリー・ハナンは、純血種は”作業犬”とは違う、ショーのための犬の方が”正しい体型”と主張する。”作業犬”は解剖学的にみて正しい体型ではないと。

 ハナン氏の言う”解剖学的に正しい体型”とはなにか?それはケンネル・クラブによって作成された”犬種標準(スタンダード)”によって計られる。ブリーダー達はスタンダードを目標に、犯罪的な近親交配を繰り返す。

 ドッグズ・トゥディ誌のビバリー・カディ氏は、純血種の良さは大きさや性質等、多くの要素が安定・保証される点だが、犬種基準を目標に繁殖させられる犬達の欠陥も、残念なことに予想できるという。
 「犬達がこわれていきます。」ブリダーによる犬達は健康上の不安を抱え、恐ろしいスピードで遺伝性疾患が増えていると指摘する。

・ラブラドールレトリバーは、関節と目
 スプリンガースパニエルは、酵素欠乏症
 ウエスト・ハイランド・ホワイト・テリアは、アレルギー
 ゴールデン・レトリバーは発ガン率が高い

 特定されている遺伝性疾患はおよそ500種類
 ”純血種”の遺伝性疾患発症率は人間に較べはるかに高い。

 ボクサーは心臓・癌・脳腫瘍・癲癇
 癲癇の発作に苦しむボクサーと飼主の日常の映像
 ペンシルバニア大学教授、ジェームズ・サーベル氏は、癲癇の発症率は、犬種によっては人の20倍にものぼると指摘する。

・そもそもの繁殖の始まりは自然淘汰の延長にあった。秀でた猟犬や番犬同士を掛け合わせ、優秀な使役犬の犬種を作り出したのが、近代犬種の誕生である。

 それが崩れ、犬が本来人間社会で担ってきた役割はそっちのけで、外見のみ重視されるようになったのは19世紀半ばから。金と暇を持て余したイギリスの新興中産階級があらゆる犬種の完璧モデルや新犬種を作り出すことに熱中し、外見を追求する趣味的な繁殖が定着する。
 1850年代にドッグ・ショーが開かれるようになり、1873年にはショーを運営する組織・英国ケンネル・クラブが誕生。
 135年経過した現在、ケンネル・クラブは純血種の血統の登録と世界最大のドッグ・ショー”クラフツ”を開催する役割を担う一大組織として社会的ステータスを確立・定着している。

 RSPCAのエバンズ獣医師は言う。ドッグ・ショーは誤った美意識に基づく、外見のみを基準とした、犬の健康や福祉とは無縁な催し。

 ローデシアン・リッジバックは背中に一筋の逆毛があるのが”標準”とされる。リッジは一種の畸形で脊椎披裂を発症し易く、類皮嚢腫も深刻な症状を惹き起こす。
 二十分の一の確率で生まれるリッジのない子犬は発症しない。
 しかし、”犬種標準”によれば、リッジのない正常な子犬はローデシアン・リッジバックを名乗る事は許されない。深刻な疾病を惹き起こす畸形でなければ純血種ではない。

 ブリーダー、アン・ウッドロウはこぼす。「近頃はリッジのない子犬の安楽死を拒否する獣医が多くて困る。」リッジのない”出来そこない”は「私の管理の元で静かに逝かせてやりたいのよ。」
 ブリーダーはリッジの標準改定に反対する。
 ローデシアン・リッジバック・クラブの規定では、リッジのない子犬は致死処分と今でも明記してある。
 基準にはずれる子犬たちが殺されるのは、道徳的、倫理的に許されないのでは?
 ケンネル・クラブ会長、ロニー・アービング氏は、基準を充たさない子犬たちが殺されているのは肯定出来ないとし、今まで自分が知らなかったそういう行為を防ぐため出来るだけのことをすると明言する。
 ケンネル・クラブがそういう考えを支持すると思われたくはない。

・ペットの保険業界は、雑種の方が健康で強いとよく知っている。雑種の保険掛け金はブルドックの半額以下。

・「純血種の問題は、全ては一握りの血統に行きつくこと」スティーブ・ジョーンズ教授は、人間社ではタブーとされている近親交配が、犬のブリーディングで当り前となっている点を糾弾する。
 望ましい形質を定着させるため、ケンネル・クラブの規定では、同じ犬種同士の繁殖しか認められない。その結果、近親交配が行われ遺伝病という高い代償を犬達に払わせている。

 近親交配をしているかという質問に、ケンネル・クラブ会長が答える。
 「親子は?」「ノー」、「兄弟姉妹は?」「ノー」、「祖父母と孫は?」「イエス」。

 近親交配は犬の免疫系に打撃を与え、感染症に対する抵抗力を低下させ、最終的には生殖不能となりその犬種は滅びる。某大学のが10犬種を調査したところ、現在の犬は、40年前の犬の遺伝子の10%しか継承していない。90%は既に失われ遺伝子の多様性を喪失していた。

 2006年、CAWC(ペット動物福祉協議会)は、ケンネル・クラブに報告書を送る。
  1、近親交配の規制
  2、遺伝性疾患を持つ犬のドッグ・ショー出場禁止

 カークウッド博士は、犬の福祉に関する問題は沢山あるが、その中でも一番悪影響の大きな問題として抜本改革を求めた。

 これに対してケンネル・クラブは、「単純で科学的根拠がない」と反撃。
 多くの犬種の大多数は健康であると言うのだが・・

 2年前の2004年、ケンネル・クラブの遺伝学顧問は同様の指摘を発表していた。「多くの犬達に過酷な重荷を負わせている」事実を指摘し、改善を勧告していたにもかかわらず、言い分をこの二年間で変えてしまったようだ。
 顧問・ジェフ・サンプソン博士は「ほとんどの犬が健康に一生をおえる」と今では言っている・・

 パグ犬のジョージを見てみよう。彼はクラフツのチャンピオン犬の子供で、モリス夫妻は800ポンド(12万円)で購入した。
 ジョージは生まれた時から様々な疾病、障害を背負っている。膝蓋骨脱臼、裂口ヘルニア、軟口蓋過長症、下まぶたは常に眼球をこすり、脊椎の湾曲、呼吸困難は日常的・・
 苦しむために生まれてきたかのようなジョージは、しかしクラフツの出場権を持っている。

 パグの犬種基準がパグを様々の遺伝性疾患の巣に変え、今やパグはジャイアント・パンダ並に絶滅の危機に瀕している。

 クラブ公認209犬種は二種を除き、繁殖前の検査義務がない。

 ケンネル・クラブの遺伝学顧問ジェフ・サンプソン氏は、義務付けはブリーダーが嫌がるという。ブリーダー達の支持を失い会員ばなれを起こす。
 英獣医師会会長も”かけがえのないケンネル・クラブ”を大切に守っていかなくてはならないと言う。規制を強めて会員の支持を失えば、クラブの持つ影響力も失われると心配する。
 会員の中には、会員の大多数の支持が得て繁殖システムを抜本的に変えたいと頑張って活動している人もいる・・

 その人はキャロル・ファウラー。飼ったキャバリアが2匹とも脊髄空洞症を発症。それがきっかけで活動を始める。

  <後略>

 非人道的、犯罪的な人工的繁殖で、どれだけ無数の犬猫が避けることが出来た苦痛、疾患を予め背負わされてきたことでしょう!
 私達は、こういう馬鹿げた残酷な仕打ちを止めさせなくてはなりません!



 ファウラーさんの地道な活動が、ケンネルクラブの犬種基準を少し改善していく後日談があるのですが、抜本改革は難しいですね。


 参照ビデオ:Extreme dog breeding

 
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内容が漠然としていますが・・

 はい、はじめまして。

 漠然とした内容なので一般論でお答えするしかありませんが、障害を確認されたのなら、獣医さんに見せることにつきます。ネットで書き込みしてても始まらないです。

 元の飼い主さんが、不妊去勢をせず複数頭を囲い込んでいるのなら、結果として近親交配が生じます。飼い主に不妊去勢を勧めること。行政に通報して指導してもらうこと。

 最初にするのはそういうことだと思います。

何か手だてはないものでしょうか....

チッチさん、はじめまして。
ある仔犬たちの症状が気になり、情報を求めていてココにたどり着きました。
記事、拝見しました。
ペット先進国である英国でも様々な問題を抱えているのですね。
その近親交配について....
私の住む地域で私財をなげうって警戒区域のペットたちの保護活動をしている方がいます。(上記のURLがその方のブログです。)
最近、ある飼い主から保護した仔犬たち(ミルクちゃんとヒカリくん)が近親交配により障害が出ているようで、見ていてとても辛いです。
少しでも症状を抑えるすべがあればいいのですが....

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