「動物の福祉を守る英国の法律」:RSPCAはいかにして動物虐待を防ぐか?


 「動物の福祉を守る英国の法律」(2013年11月24日開催)のセミナー報告が「動物との共生を考える連絡会」FBに掲載されています。是非、ご覧下さい

 講師は、「英国王立動物虐待防止協会(RSPCA)」のポール・リトルフェアー氏(国際部門担当)&フィル・ウィルソン氏(告発訴訟担当マネージャー)のお二人です。

【セミナー】報告 ①

【セミナー】報告 ②

【セミナー】報告 ③

 *参照:英国王立動物虐待防止協会(RSPCA)2012年次報告書



【概略】
 動物が感じる「苦痛」は学術的に計測可能であり、動物の「行動」が動物福祉を測る指標になる。
 国際的にも動物福祉学は学術対象で、多くの国が「動物福祉(向上)」を所轄する政府機関や省庁を設置し、動物福祉基準の策定や法制化が推進される流れになっている。

 英国の現行動物福祉法では、動物虐待は"Cause Unnecessary Suffering"(動物に不必要な苦痛を生じさせること)と定義され、「動物に対する直接的な暴力・虐待行為」と「適切な飼養を行わないこと(ネグレクト)」の2つに大別される。
 動物種固有の生態(行動様式、食事の摂取量、生活様式、行動範囲等々)を無視した飼養が虐待に繋がる。

 RSPCAの活動指針は「感情論」で説得を試みるのではなく、どんな人にも理解可能な【科学的な理論】で、動物が置かれている状況に社会の理解を求めていくやり方である。
 RSPCAは、次の4つのスケール(尺度)で個々の事例を検証し、ケースによっては動物の救出保護を目的とした活動を行っている。

 1)「適正(適切)- 不適正(不適切)- 虐待」

   その動物にとって、その環境下にあることが適正なものなのか、
   それとも法には反しないものの不適切と呼ぶべきものなのか、
   あるいは明らかに法律に違反するような「虐待」となるものかを判断する。

 2)「人間にとっての利益 - 動物にとっての害悪」

   人間の健康に貢献する薬品等の検査に供される実験動物や、食に供される産業動物 など
   動物に与えられる苦痛が、人間の益のために、やむを得ず行うことが避けられないものかを判断する。
     

 3)動物にとっての基本的要求

   食餌・水・温度・広さ・家や巣の状態・行動様式
   敵対動物から隠れられる場所・退屈しない刺激 等、動物の本来持つ欲求が満たされているかどうか。

 4)動物たちの「5つの自由」

   飢えや乾きからの自由(解放)
   肉体的苦痛と不快からの自由(解放)
   外傷や疾病からの自由(解放)
   恐怖や不安からの自由(解放)
   正常な行動を表現する自由


 4つのスケールは、社会の成熟度、動物に対する社会的認識、文化的な背景等により異なり、また、時代と共に変化するが、現行社会に対し広く「啓発」することが動物虐待抑止力となり、有効なアプローチとなる。


 前職が警察官の告発訴訟担当主任のフィル・ウィルソン氏は、RSPCAの研修を受け「査察官」の資格をとり、14年間の勤務を経た後、告発訴訟を担当して12年目になる。査察官には「高度な知識」、「人間的に豊かな素養」が要求され、基準に満たなければ採用されない。採用後も、査察官の仕事は半分は現場、半分は座学での勉強(7割が法律の勉強に充てられる)。
 査察官には、あらゆる階級や文化的バックグラウンドを持つ人々に的確に対応する対人技術が必要とされ、社交的で話し上手で聞き上手な人が向いている。同時に様々な重圧に耐える「精神的な強靭さ」が求められる。 

 RSPCAには「職域制限」の規定があり、「実際の現場に向かう人たち(査察部)」は、3つに区分される。
 1:330名の「inspector(査察官)」 。
  通報により現場の査察を行い、ケースファイルを作成する。
  深刻なケースは 虐待現場から動物を救出保護。最悪の事態を回避させ、安全を担保する施設に移送する。
  告訴に至るケースでは、法廷で証言する役割を担う。

 2:130名の「animal welfare officer(動物福祉担当官)」
  それほど喫緊な対応が必要でない通報にたいして、査察官の指示のもと、現場に向かって聞き取り調査をしたり、インスペクターに同行し現場での円滑な活動の助手をする。

 3:50名の「animal collection officer(動物引き取り官)」  
  主に動物の保護回収業務を担当。病院や保護施設などへの搬送等を行う。

 RPSCAは年間120万件(!)の通報の内、15万1千件に対応。
 重篤な犯罪事例約2000件を告発(現場によっては告発案件が重複するため4100件の罪状)。
 告発の罪状で1500人が有罪判決を受け、勝訴率は98%を記録している。

 RPSCAは「職員教育」「職域制限」を基盤にRSPCAのスタンダードを守り、組織として統一した基準で、動物虐待防止に当たっている。
                          以上
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